2023年2月15日水曜日

明治は遠く

12th Lien(リアン)/Angelic Sigh IV
12th Excute Lien / Angelic Sigh IV


長年愛用しているピンクッション。
小さくて使いやすい。
見目麗しく,温かい心持ちにしてくれる。


この針刺し,ある高齢の女性が私のために作って下さった。

彼女はこれ以外にも,毛糸で編んだ細いマフラーや,
室内で履く毛糸の靴下など,何かと手作りして私に贈って下さった。
彼女は母の友人で私と親しかったわけでもなかったのに,
不思議と私のことを気にかけてくださっていた。

永遠に生きてらっしゃるような気がしていた彼女だが,
とうとう永眠されたと聞き,一人で讃美歌を歌って見送った。
こんな日がやってくるのは必然なのだとわかっているのに,寂しい。
自分より上の世代の方々がどんどんいなくなっていくのは辛いと思う。
107歳まで生きた彼女はどれほど見送り続けたのかと思うと途方もない。


107歳。調べてみると,大正5年か6年の生まれだ。
そんなにも高齢なのに大正生まれなのか!
明治はもう本当に遠い時代になったのだと,明治生まれの祖父母を思い出した。
私が幼い頃は,まだ慶應生まれのおじいちゃんおばあちゃんがいたのに。


そういえば,「明治は遠くなりにけり」という歌があったな。
調べて見ると,中村草田男(1901年〜1983年)の俳句だった。
降る雪や 明治は遠く なりにけり(1931年 / 句集『長子』収録)
今改めて,何と胸に染み入る俳句だろうかと思った。

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