2021年7月28日水曜日

蝉時雨と蝉豪雨

ティモテ<NO.04910>
Jenny Friend Doll / Timotei (Liccachan Castle)



東京でよく聞くセミはミンミンゼミとアブラゼミ。
重なって聞こえても如何にも「蝉時雨」という感じで風情がある。

九州で生まれ育った私にとって,馴染みがあるのはクマゼミだが,
彼らの声ときたら,まるで世界が蝉の声で満たされたよう。
例えて言うなら,前が見えなくなる程の雨が地面を叩きつける音のようで,
「蝉時雨」ではなく「蝉豪雨」と呼ぶにふさわしい。

うるさくて目眩がしそうなクマゼミの声だが,
涼しげで弱々しげに聞こえるミンミンゼミやアブラゼミの声ばかり聞いていると,
たまにとても懐かしく,クマゼミの声が埋め尽くす大気の下に帰りたくなったりする。
あの音こそ私の知る夏なのだ。


クマゼミが北上(東上?)しているという話を何年か前に聞いたことがある。
その時の話では,既に神奈川県でもクマゼミが確認されているとか。

ちょっと調べてみたら,2020年のウェザーニュースの記事で
「あなたの街で1番聞こえるセミの声は?」というのが見つかった。

  アンケートで検証! あなたの街で1番聞こえるセミの声は? - ウェザーニュース

クマゼミ優勢は,九州・四国と本州の瀬戸内海周辺,愛知県・静岡県。
30年ほど前に静岡に住んでいた頃は,アブラゼミばかりだったと記憶している。
愛知や静岡でクマゼミが聞こえるのは北上(東上)の影響だろうか。

ミンミンゼミは関東と東北太平洋側。
日本海側は総じてアブラゼミ優勢。


この記事で,西日本の人にはミンミンゼミは「涼しげ」に聞こえると書かれていて,
やはりそうなのかと思った。
ミンミンゼミの声を聞くと,私は「関東の夏って(涼しくなくても)涼しげだ…」と思う。
なのに,東京の人にとってはミンミンゼミは『暑苦しさの象徴』なのか!


蝉の声に対するイメージで生まれ育った場所がわかりそうなのは,
蝉の声を雑音ではなく蝉の声として認識する国民だからなのだろう。


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