2023年5月4日木曜日

本棚と記憶

タイニードールリリー
Tiny Doll Lily



常に次の引っ越しの対策をしている。

毎度のことだが,引っ越し直前と直後は頑張る。
直前は荷物を減らすために勿論だが,
直後は荷物の片付けに疲れ,荷物を減らさねばと思うから。

その時期も終わって最近さぼっていた。
しかしそろそろ次の引っ越しを見据えて行動を開始しないと…。
何しろオタクだから荷物が多いのだ。そして趣味は削りたくない。

まず本とアルバムが手軽なターゲットになる。
電子化してコンテンツは残し物体は処分。
何巻もあるコミックは空間を空ける効果が大きい。

コミックの場合,
実は電子化してiPadに入っている方が読むことも実証済。
空間の肥やしが活用される形になるので一石二鳥だ。


だが,物には物の良さがある。
本は読まずとも本棚に並んでいるだけで意味があるのだ。
並んだ背表紙の文字群はそれを選んで並べている自分の心の軌跡。
並んでいるだけで心に何かを想起させ訴える力を持っている。

「星はすばる、彦星、夕づつ。」
星の名前を列挙しただけの『枕草子』の一節がとても有名なのは,
並んでいるだけの単語が何かを想起させ,心に訴えてくるからだ。
本棚に並んだ背表紙は『枕草子』の単語の列挙と相通じている。


かつて。かつての大昔。
『ヨコハマ物語』全巻と水筒を自転車に積んで,地図を片手に出かけた。
用宗とか三保の海岸の砂浜に座り込んで日長一人で読みふけった。
何故そんなところで読みたかったのか。
でもお陰で物語の内容は海辺の風景とリンクして記憶に刻まれている。
私の記憶の糧になってくれた本たち,ありがとう。

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