2022年4月5日火曜日

冷たい雨とは何ぞ

1/6ピュアニーモキャラクターシリーズNo.073 『東方Project』アリス・マーガトロイド
1/6 Pureneemo character series No.073『Toho Project』Alice Margatroid.


東方の世界はよく知らないけれど,
アリスは人形を作る魔法使いということで,何か理系なイメージ。



昨日と一昨日,東京は「冷たい雨」だった。

天気予報でよく聞くこの「冷たい雨になるでしょう」って表現がすごく気になる。
雨の生成過程によって「冷たい雨」「暖かい雨」は気象学的に定義されているが,
天気予報で言う「冷たい雨」はその定義に則ったものなのだろうか。

でも,中緯度の晩秋から早春までの雨は100%が気象学的「冷たい雨」だし,
暖候期の天気予報で「暖かい雨になるでしょう」という表現は聞いたことがない気がする。
その上,天気予報を聞いているほとんどの人にとって,
重要なのは降るか降らないかであって,雨粒の生成過程などどうでも良いことだと思う。

だとしたら単に「寒くて濡れると冷たいから気をつけてね」程度の意味だろうか。
……などと考えてモヤモヤしてしまうのだ。
はい知ってますよ,私は面倒な人><


そんなこんなで気になるので,備忘録的に暖かい雨と冷たい雨を復習しておく。


雲ができるような上空は,基本的に空気が綺麗で雲の核になるエアロゾルも少ない。
雲ができ始める高さ(凝結高度)まで上昇した水は,このため過冷却水になりやすい。
要するに0℃以下になっても液体のままの水が存在している。
そこは,過冷却水と水蒸気と氷が同時に存在している世界だ。

同じ水分子とはいえ,過冷却水と氷では飽和水蒸気圧が少しばかり異なる。
過冷却水が水蒸気になるための飽和水蒸気圧より,
氷が昇華して水蒸気になるための飽和水蒸気圧の方が少し低い。

このため過冷却水と氷の両方が存在している場合,
水蒸気量は中間の飽和水蒸気圧で安定しようとする。

ところが,当然ながらその中間の飽和水蒸気圧では,
過冷却水は未飽和,氷は過飽和になる。
故に過冷却水から水蒸気への相変化が進み,その水蒸気は氷晶に相変化する。

結果として「過冷却水→水蒸気→氷」がどんどん進む。
氷晶は大きく成長し,落下速度が雲の上昇気流の速さを上回ると降水となる。

これが「冷たい雨」。
地表付近がおおよそ3℃以下なら溶けることなく雪になる。
中高緯度で降る雨の大半はこの「冷たい雨」なのだ。


これに比べ,「暖かい雨」は,単純だ。
周囲の雲粒とぶつかって成長し落下速度に達した雲粒が,
落下しながら下にあった雲粒とぶつかり併合し,どんどん大きくなって降水になるというもの。
熱帯や中緯度の暖候期に降る雨がこれになる。


天気予報を聞くほとんどの人は,冷たい雨かどうかなんて興味ないのではないか?
私だってせいぜい「過冷却水→水蒸気→氷」過程を想像してワクワクする程度だ。
冷たいか暖かいかより,降る量や時間帯の方が重要だよねと思う。
じゃあ天気予報が言う「冷たい雨になるでしょう」は何?

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