OWL (49) Fuku Lodge

• 身長　6～13mm
• 入手　2007年06月23日
• 出身　愛知県瀬戸市
• 材料　木・紙粘土など？

　午後の早い時間帯だった。 　宅配便で届いたのは「熊本西瓜」と書かれた大きなダンボール箱。しかし中身は熊本西瓜ではなさそうで，配達の運送会社の人が言う。
　「こちら，差し出しは関西か四国ですか？　午前中の配達で受けてしまっているんですが，この地域からは午後到着の便しかないんですよ。お待ちになっていたら申し訳なかったと思って。」
　見てみると，差し出しは瀬戸市の友人。
　「あぁ，愛知県です。わかりました。ありがとうございました。」

　西瓜のダンボール箱の中身は誕生日プレゼント詰め合わせだったのだが，音楽CDに封筒，絵はがき，薄い小さな包み…そして，何かかなりしっかり保護された大きな物。不用意に取り出さない方が良いような気がして，先に添えられた手紙を読んでみた。

　「Fuku Lodge」？

　気をつけて包みを開けると，一つの世界が広がった。
　いつか行ったことのあるような，どこかで経験したような，過去の一コマ。それも，とびきり楽しかった夜から切り取ってきたかような，懐かしい風景。
　かつて仲間達と過ごした，星空の下での幾多の夜が，そこにあった。

　沢山の鏡筒，アイピースの箱，カメラ。
　筒を覗く子がいれば，望遠鏡を前にお喋りしている子もいる。
　この，手すりにもたれて一人で空を見上げている子は，きっと私。

　瞬時に沢山のことを理解した。
　長い間友人の部屋にあったという，この Fuku Lodge。それが今日，私の元へ届けられた意味を。
　彼女が星空の下で過ごした時間と，同じように別の場所で私が過ごした星空の下での時間のことを。


　横についたスイッチを下ろすと，ロッジに灯が灯り，同時にAMラジオの電源が入った。
　そう，一人で星を見るときは，よくラジオを聞いたものだった。
　ほのかなロッジの灯は，帰れる場所だけが放てる安らぎの光だ。

　これを作った方はもう他界されたということだが，彼は，そういう星空観望の時間をよくよく知る人だったのだろう。

　星空の下で，私は私になるための沢山の時間を過ごした。
　そして，星空を介して知り合った多くの友人たちに支えられて，いま生きている。

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