figma Kagami Hiiragi
figma 柊かがみ
アニメ『かくしごと』にて。
父子家庭の娘がとても悩んでいた。
お友達のお誕生日会に呼ばれたが,断るべきか行くべきか。
「行く」という選択は簡単ではない。招待に応じれば,自分もお返しにお誕生日会を開き,お友達を招待せねばならないのだ。
ケーキやお料理や飾り付け,お父さんが大変だ。やっぱり断ろう。娘はそう結論を出す。
そんな場面に,小学校時代のお誕生日会の苦い思い出が甦った。
小学校2年生のときだった。クラスでお誕生日会が流行っていた。私もお誕生日会というものをしてみたくて母に頼み込んだ。
インドアで友達が少ない私にとって誰を呼ぶかは微妙な選択だったが,いつも一緒に登校し一緒に遊んでいた近所のショウコちゃんは確実に招待の対象だった。そして仲良くなりたいと気になっていたヤスコちゃんも,招待するつもりだった。
なのに招待状を出すべき日が近づいたある日,母から聞いた。
ヤスコちゃんのお母さんとたまたま出会った。ヤスコちゃんは私のお誕生日会に行くつもりでプレゼントを買って楽しみにしていたのに,ショウコちゃんに「あんたなんか呼ばれない」と言われて泣いていたと。
青天の霹靂なんて言葉を当時は知らなかったけれど,まさにそれ。
ショウコちゃんとヤスコちゃんの関係なんて私は知らない。
その後一年も経たずにヤスコちゃんは遠くへ転校していった。更に数年後ショウコちゃんも転校していった。全ては過去となった。
ヤスコちゃんが私のために選んでくれた誕生日プレゼントのビーズの財布を,私は今も持っている。死ぬまで大切に持っていると思う。
ヤスコちゃんごめんなさい。そしてありがとう。
誕生日会は二度と開かなかった。もうたくさん。私に耐えられる行事ではない。私には似合わない行事なのだ。よくわかった。
誕生日は一人でいい。人間関係を露呈し傷つけ合う思い出なんてほしくない。
あぁ人間関係って何て面倒くさい。
誕生日月の梅雨空を見上げてたまに思い出す出来事だ。
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