2025年10月19日日曜日

和傘の製作工程フィギュア

江戸東京たてもの園の川野商店(和傘問屋)に素敵なミニチュアがあった。
「和傘の傘製作工程」と題し,道具と共に工程を再現したフィギュアだ。
精巧に出来ていて素晴らしい。

説明書きも撮ってきたが写真が多くて重くなるので,説明の方はテキストで載せておく。

1.骨
骨には紙を貼る外側の親骨と、それを支える内側の小骨がある。
骨の竹は真竹を使い、一本の竹を割って骨を作る。
傘をたたんだ時には綺麗に元の竹の形となる。


2.繰り込み
まっすぐにした柄竹にロクロ(頭ロクロと手もとロクロの両方)を取り付ける。
ロクロとは骨をつなぐ部品でその周囲には溝が刻んである。


3.つなぎ
小骨を手もとロクロに糸でつなぐ。
親骨も同様に頭ロクロにつなぐ。
そして、親骨の中節に小骨の端を組み込みながら、中糸を通していく。


4.軒糸(ヌキ糸)
傘を回しながらの作業となるため、張り馬という作業台に乗せ、行う。
親骨の軒の穴に軒糸を通して、傘の形をつくる。
このとき親骨は四本ずつまとめておく。


5.中置き
傘の外周の軒糸に縁紙(石州半紙などの薄い和紙をリボン状に切ったもの)を張っていく。
また、中節の骨のつなぎ目の中糸にも補強のため中置の紙を張っていく。


6.側張り
一番外側(外周)の紙を貼ることを側張りという。
親骨に糊をつけ、張っていく。
骨からはみ出した部分をかみそりで切り取っていく。


7.中張り
外周を張り終えたら、そのひとつ内側を張る。
これを中張りという。
四角い紙を張り、はみ出した部分や外周とのつなぎ目を丁寧に切り取っていく。


8.天井張り
中張りと同様に紙を張りつないでいく。
頭ロクロの部分があるため熟練を要する。


9.仕上げ
張り終えたら乾燥させる。
そしてヘラを使って紙の谷の折り目を整える。
この後、ケブセ(紙のケバをとる)、下地塗り(親骨の表面に乾燥・塗りという作業を7・8回繰り返す)、油引き(放水処理。エゴマ油を引く)、漆塗り、籐巻きと糸がかり、という作業を行う。


これが横に展示されていた実際の道具たち。

こんな工程を経て一つ一つ作られているのだ。
和傘って高級品なのだなぁと改めて思った。



ミニチュア好きなので,博物館でこういうミニチュアを見つけると思わず撮ってしまう。
印刷博物館の印刷の歴史フィギュアは下記の記事。



このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿