2025年2月21日金曜日

ちろりに過ぐる一期の夢

013 figma 柊かがみ 冬服ver.
013 figma Kagami Hiiragi winter clothes ver.

昨日の苺の話ついでに?最近見た映画&ミュージカル『RENT』の雑感を記しておく。


全く興味もなかったし何なら存在も知らなかった作品だが,
事情があって見ることになった。
先に映画版を見てざっと内容を把握し,続けてミュージカルを見た。

そもそもブロードウェイに関心がないため私は聞いたこともなかったが,
12年4ヶ月,連続上演5140回のロングラン公演だった作品とのことだ。

1991年のクリスマスの日から1年を描く物語で,登場人物の大半はエイズに罹患している。
ニューヨークの廃ビルで賃料(レント)を支払えない若者たちを中心にした群像劇だ。
芸術家やゲイ,ドラッグにエイズ。
漫画『BANANA FISH』が1985年のニューヨークだから,時代はその直後。
当時まだエイズは死を待つしかない病だったこともあり,
「今しかない,今だけが人生だ!」という強いメッセージ性が溢れていた。

私は単に見知らぬ世界にあっけにとられ,演技の迫力に圧倒されて見ていたが,
最終公演のメイキング映像を見ると,
本当に多くの人がこの作品に救われ,生きる勇気を与えられたようだ。



『RENT』の "No day but today" のメッセージは,
室町時代の小唄選集『閑吟集』の一節を思い出させ,どうしようもなかった。

世の中はちろりに過ぐる ちろりちろり
(略)
一期は夢よ ただ狂へ

人生はあっという間にちろりと過ぎてしまうから,夢だと思って楽しく暮らせ。
そして,明治時代の『いちご姫』(山田美妙)が繋がるように思い浮かぶ。
「一期は夢よ ただ狂へ」を実践したかのように生きた「いちご姫」の物語だ。
いちご姫は,公家の姫君から女盗賊へ転身し,享楽的退廃的に人生を駆け抜ける。

『RENT』は別に享楽的を推奨する物語ではないのだが,
「今」を強調する視点が,「一期は夢」と重なり頭の中に響いてしまったのだった。
こうして何かの機会にふと思い出させるから,歌というか韻文の力ってすごいなと思う。

毎日雑事に追われていると,人生は本当にちろりと終わってしまう。
実際,過ぎてしまった日々は夢のよう。
全ての「今」を大切に楽しく生きれば,最終的に人生全てが楽しいことになる。
だからそれを目指し,今,次の今という感じで繋げてゆければと思う。

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