
長い長い間,一緒に暮らしてきた彼女。
玩具屋さんで椅子に腰掛けていたのを見掛け,椅子ごと連れ帰ったのは,もう25年も昔のこと。
彼女がいた店には彼女のお友達のドールは一人もおらず,
彼女が入ってきた金色の箱には,メーカ名やドール名の表示もなく,
ただ「アンティック・ドール」と書いてあったのみ。
身長62cmの大きなドールです。
何の素性も分からない彼女は,理沙と名付けられ,
大学生の頃の下宿,会社の寮,その後点々と繰り返した数々の引っ越し先,
いつも部屋の隅で私と同じ時を刻んできてくれました。
それなのに…私はこの豪華なドールをどう扱って良いのかわからず,
メンテナンスもせずにほったらかし。
最近やってきた1/6ドールばかりかまわれているのを,
彼女はどんな気持ちで見ていたことでしょう。

ただ座っているだけなのに,人間と同じように,服は袖口から傷み始めます。
袖口のレースが破けて垂れ下がり,スカートの金鎖も切れました。
ボンネットの羽根飾りは黒くなって見るも無惨。
胸元のブローチも,顔も手も黒くすすけています。
服の埃は毎日払っていましたが,
豪華な作りゆえ,レースの間やスカートのひだに埃がたまってしまいます。
髪の毛はいつのまにかカールがとれ,ばさばさで解くことも不可能。
唇の色もすっかり落ちて,何だか顔色が悪く見えます。
何とかしてあげなくては…!

1/6ドールを触ったおかげで以前は怖くてできなかったことも,何となくやれる気がしました。
服はおしゃれ着用の洗剤で手洗いし,
髪は油を差しながら時間をかけて丹念に解き,その後シャンプー&リンス。
顔や手足の汚れを拭き取り,ブローチは歯ブラシを使ってゴシゴシ洗いました。
ほつれた袖口を繕い,鎖を止めつけ,すっかり伸びたペチコートとドロワーズのゴムを交換。

写真に撮ると変わり映えしませんが,下の2枚がメンテ後。
そのうち,アクリル絵の具か何かでリップは薄いピンク色にしてあげましょう。
新しい服など作ってあげられればよいのですが,
この子の服は大きいので,ミシンが無い私には難しいかなぁ。
型紙も自分でとらなくちゃいけないし。

服を作ったりする参考になるかなぁと思って『ローゼンメイデン原画集』を買いました。
何か違う気もしますが(^^;。

元画像を大きくしてみました。
災害で自宅の写真が全部ダメになってしまったときの為の保険です(^^;。
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